休職20日目:良いことを少しずつ

今日は生まれてはじめて献血をしに行った。大きな駅に布地を買いに出掛けて、その途中でふと「献血してみようかな」と思ったのだ。

夫が献血好きでよく通っているので気になってはいたのだが、どうにも機会がなく私はやったことがなかった。一度だけ過去に受付まで行ったものの、その時は初回だと2時間近くかかると言われて日和ってそのまま帰ってしまった。今日は時間もあるし、どうせ働いていないのだし何か人の役に立てるならと思い意を決して戸を叩いた。

平日の昼間にも関わらず思いのほかたくさんの人が献血にきていた。サラリーマンらしき人や学生らしき人、主婦のような人など様々。彼らがなぜ献血に来ているのかは謎だったが、みんなちょっと良いことをしている時の誇らしげな感じで素敵だった。そうだよね、私たち良いことしてる。

初回だったので200mlにしようと思ったのだがどうやら健康体は400ml採ってもよいらしくそちらを勧められ、促されるままに診察や事前採血などを行った。最近の採血は指から採れるらしく、針のようなものでプチッと刺されたところから3滴血をとった。なんかの魔術みたいでかっこよかった。A型だった(知ってた)

初心者は特に手厚く説明があり、受付や医療関係者の皆さんから再三「貧血でぶっ倒れる可能性があるから気をつけるように(意訳)」という注意を受けた。ちなみに、私は必要に応じて抗不安薬を服用しているのだが、当日に服用していなければ献血OKだそうだ。

待つこと1時間半ようやく採血の順番が回ってきた。診察椅子のようなところに座り、膝に毛布をかけられる。目の前にはテレビが置かれ、動物園から逃げた猿が捕まったというニュースが流れていた。

看護師さんが手早く針を刺し、私の血がどんどん外に流れていく。点滴はしたことがあっても、体内から血をこんなに沢山とる経験は今までないので少し緊張した。何より、腕の上に通った血液チューブがやや生暖かく、しかも心なしかジョロジョロ……という液体が流れる質感が伝わってくるのが怖かった。本当に血が抜かれてる……ペットボトルくらいの量を……と、そんなことを考えている内に採血が終わった。

腕をぐるぐる巻きにされ受付に戻され、注意事項を受けた後に帰路に着く。歩きすぎずよく休憩するようにと言われていたがそのまま歯医者の予約があったので、結果的に1時間ほど寝たきりとなった。

歯はきれいになったし、血液は誰かの役に立つだろう。なんかこういうことでいいんだよなと思った。健康で少し良いことをする。何か偉くなったり、何かすごいことをするより、こうやってひとつひとつ良いことを行動に移したり、そういうことをする心の余裕がある生活を過ごしたいと思った。