休職8日目:もしかしたら脳みそのせい?

先月の暑さとは打って変わって、朝晩はだいぶ秋めいてきたように感じる。窓を開けて寝ていると朝涼しい外気を感じて目覚めるのが心地よく、ずっとこんな気温が続けばいいと思いながら毛布を足で探っている時間に幸せを感じる。

今日は大して何もしない1日だった。朝に1本映画を見て、昼に少し外に出て歩き、最近できたラーメン屋で昼ごはんを済ませた。帰りは近所なのに道を間違えて遠回りし、帰ってからまた映画を1本見て適当に夕飯を作り、風呂を済ませ今に至っている。たまにはこういう気の抜けた日があってもいい。

午前中にTwitterをザッピングしていたら、ある漫画の最新話の試し読みを見つけた。町田粥さんという方の「発達障害なわたしたち」という作品だ。日頃からよく見ているオモコロというチャンネルの恐山さんがゲストになっていたので、読んでみたところとても面白く、そのままkindlleで単行本を購入してしまった。

最近身の回りでもよく聞く「発達障害」をテーマに、様々なゲストや当事者の声を紹介するという作品なのだが、作者の町田さんも編集者の方もどちらもADHDの診断を受けており、作中では主に生活に生きづらさを抱えている彼女たちがゲストとともに”あるある”を共有するという内容になっている。

家が片付かない、予定を先延ばしにしてしまう、一つのことを集中して行うのが苦手、言葉の意味をそのまま受け取ってしまう、不用意な発言をしてしまう、ジッとしていられない……などなど、発達障害としてあげられる特性は個人によって様々だが、どれも今の社会を生きる上であまり良い結果にはつながりにくいため、結果的に会社や学校などで孤立しやすく、鬱やその他の体調不良などの二次障害を発症させやすい。

本作の中では、こうした生きていくのがちょっとしんどい発達障害の人たちが自分たちの”あるある”を明るく語り合い、解決するためのライフハックを共有しあっているのがポジティブでとても励まされる。

というのも、この本で紹介される”あるある”、私もほとんど当てはまっていたからだ。正直誇張抜きで8割くらい当てはまっていたし、彼女たちが実践しているライフハックも私が今まで経験から生み出してきたものと重複するところが多かった。

例えば、用事をギリギリまで先延ばしにしてしまうという点。絶対にやらなければならない業務や、絶対に丁寧に返したいメールなどを後回しにするという癖がある。言い訳をすると、これは「一番いいコンディションでやりたいから」というのが理由なのだが、作中で編集者の方が全く同じ話をされていた。

また、率直に物を言い過ぎて疎まれるというのも、恥ずかしながら私も当てはまる特性だった。これは主に業務においてなのだが、私は自分の成果物に口を出されるのがとても嫌いだ。自分の意図を汲んだ上で良いアドバイスだと思ったらもちろん聞くが、トンチンカンでただ何か言いたいだけの人間がいっちょがみしてくるということがどうしても許せず、ほぼ脊髄反射で即座に言い返してしまう。そして場の空気を悪くし、結果的に人間関係に支障をきたしてきたことが正直一度や二度ではない。

さらに忘れ物をしまくるため絶対に電車の網棚を使わない、常に家の中で物を探している、TODOリストに書き込み続ける(自分の脳を信用していない)、集中できず突然別のことを始めてしまうなどの衝動を抑えられないなど、あげたらキリがない。

今までも発達障害の特性などとして挙げられているチェックリストなどに当てはまることは多かったのだが、特に困難なく大学を出て、やや苦戦したものの無事就職もして、(体調も壊したが)なんとか今まで就労できていたので、発達障害ではなく「ただのズボラな一般人」だと思っていたのだ。

今まで、なぜ自分は発達障害ではないと確信していたかというと、TODOリストに書いたことは必ず遂行したり、メールなどの通達物を溜めたりしないという妙にマメな部分があるという点だった。強迫観念が強く、完璧主義なところもあるので、スマホの赤丸が溜まっているのが許せない。仕事で抜け漏れを出すのが異常に怖いので、常に前倒し前倒しで仕事してきた。

つまり私の中では「発達障害=ズボラで問題を起こし(締め切りを守れないなど)社会から浮いている人」というイメージになっていたのだ。私は締め切りを守れるから大丈夫。学生時代から今まで社会からもギリ浮いていない。そう考えていた。

しかし、この本の中で一つ大きな発見があった。それは編集者・K成さんが、私とそっくりな特性をお持ちだったのだ。彼女は人気連載をバンバンだし、人気作家と次々仕事をする売れっ子編集者だ。編集者という仕事柄、もちろん締め切りなども守っていらっしゃるでしょう。そんな彼女もADHDだというので驚いてしまったのだ。

K成さんは、ご自身も仰っているように完璧主義者で、学校での成績も良かったそう。それでも社内の手続き(おそらく遅れてもあまり怒られないor自分が損するだけで済む)に遅れたり、家の中で物を無くしたり、発送作業などのタスクが苦手だったり、スケジュールを立てるのが苦手だそう。私とそっくりだった。

また、作中では発達障害の診断の際に子供の頃の通知表などを見せるという工程があるそうなのだが、私は子供の頃異常に落ち着きがなく、異常に片付けができず、プリントなどを親に見せるのも遅刻常習犯だった。ちなみにこれは小学校6年間直ることがなかった。小3の頃についに算数で「がんばりましょう」を取ったことに危機感を持った親に学習塾にぶち込まれたことで勉強で取り残されることはなかったのだが、小3まではとにかくボーッとしており物心がついていないような状態だったように思う。急に覚醒したのだ。

ちなみにこの覚醒期は大学受験直前の16歳ごろや、就職直後の22歳くらいにも経験している。それまで漫然と生きていたのに、急に人生のスイッチが入るような感覚だ。作中で町田さんやゲストで作家のカメントツさんがあげていたものに近い気がする。

完璧主義者で普通に仕事しているADHDもいるのか……その場合、私ももしかしたら……?

この休職期間に服用している薬のおかげで不安や緊迫感が消え状況が好転したことをきっかけに、今までの生きづらさがもしかして自分の体や脳みそサイドの問題だったのかもと思い始めたので、自称「ただズボラな一般人」も一度きちんと検査を受けた方がいいのかもしれない。ただ、診療に必要だという子供の頃の通信簿などを実家に取りにいくのがすでに面倒くさい。道のりは長い……

 

<今日やったこと>

・映画「殺さない彼と死なない彼女」を見た
原作の4コマは知っていたがそう来たか。オチにびっくり

・ラーメンを食べた

TSUTAYAでDVDを返し、借りた

・映画「ウルフオブウォールストリート」を見た

以上